花にもなってしまうわ
わたしだけの深づめ
泪の前触れ
三日月の子ども

恋心はどれも満室です
忌む花片で寝かせて
いちばんを奥付けてからにして
セレナーデを掻い潜る
胸に刺さればどれでも同じ

断の口づけ
いつけは背景をしょって
遂を添えて
桃色には未熟なので
無欲を試されて

うかうかと貴み
幸福に着火
さめざめの見本
売り出しベルベット
皮ごと象るいきものたちへ
(詠美さんの、 もいちどなんてないよ から5題)

うるわしきを手土産に
とてもじゃないけどずるい
獣たちの夜葬
きっとあなたを拐うのにいそがしいので
あまくなければ腐りもしない

砂糖の國
インスタントナイト
悪なき液化
華麗さたちの図鑑
未青年のぬけがら

極彩をしぼる
あてにならない恋慕
さまよった者勝ち
獏を明け渡す
でたらめな水面

虐げられた偶像
あとかたもない生粋
白蓮の終にて
あの夜で手を打つ
さよならのパレェド

沈む海の名も知らぬ
アンドロメダの裏がわで
浅ましさだけが美点
トマトのふちを歩くおとな
踏み行ったカーキ

あの娘の手のひらは桃色
アトリエの結合
甘酸っぱいうちに
美しさを迂闊に嘯けど
なれ初めは硬い